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御所見総合クリニック

Goshomi JournalSecond volume

耳鼻咽喉科医師松山祐子yuko matsuyama

「耳鼻咽喉科 松山祐子医師」へのインタビュー記事の後編です。「補聴器の正しい選び方」「松山医師の診療」「医師としての働き方についての松山医師の考え方」お届けします。

首から上の専門家耳鼻咽喉科(目、歯、脳を除く)
松山祐子

経歴

  • 幼少期から高校卒業まで藤沢市で過ごす
  • 神奈川県立湘南高等学校卒
  • 山口大学医学部卒
  • 山口県総合医療センター研修医
  • 岡山大学耳鼻咽喉・頭頸部外科入局、勤務
  • 姫路赤十字病院耳鼻咽喉科にて勤務
  • 2020年より藤沢御所見病院・御所見総合クリニックにて勤務

認定資格

  • 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会専門医
  • がん治療認定医(日本がん治療認定医機構)
  • 補聴器相談医
  • 補聴器適合判定医
  • CPAP療法士
  • 難病指定医
  • 騒音性難聴担当医
  • めまい相談医
  • 身体障害者福祉法第15条の指定医

診療内容

  • めまい
  • 鼓膜形成術(リティンパ®️)※1
  • 難聴(入院治療や鼓室内ステロイド投与療法など)
  • 鼓膜チューブ挿入術
  • 補聴器外来
  • 耳鳴りに対する音響療法
  • 化学的鼻腔粘膜焼灼術
  • 甲状腺腫瘍
  • 頚部リンパ節炎
  • 耳下腺腫瘍
  • 顎下腺腫瘍
  • 睡眠時無呼吸(簡易検査・CPAP治療)
  • 嚥下障害
  • アレルギー治療-舌下免疫療法
  • アレルギー治療-抗IgE抗体オマリズマブ(ゾレア®)※2

※1・・2019年に認可された世界初となる外用の鼓膜穿孔治療薬。薬剤を含んだスポンジを穿孔に貼り鼓膜再生を促す治療薬

※2・・様々なアレルゲンそれだけに反応する(特異的)抗体”IgE抗体”に直接結合し、肥満細胞との結合を抑えアレルギー反応が出ないようにする治療薬

補聴器は騒音の調整、大きい音は下げて、小さい音は上げてなど何度も調整が必要

-診療の中で御所見病院の特徴として多いと感じる症状などはありますか?

松山医師

この地域はご高齢の方が多いので難聴の方もいらっしゃいますね。今はマスクを着用するので、通常より言葉が聞こえづらいので補聴器を検討する方なども来られています。

-補聴器外来とはどういうものなのでしょうか?

松山医師

補聴器は眼鏡と違って「視力1.0」など一種類ではなく、聴力は高い音から低い音まで全部調節しないといけません。騒音の調整、大きい音は下げて、小さい音は上げてなど何度も調整する必要があります。当院でも補聴器外来で補聴器の貸し出しの際はしっかりと調整を行なっております。また、街の補聴器屋さんも認定補聴器店というものがあり、そういう所に行っていただいてちゃんと調節してもらう必要があります。

-補聴器自体は通販などでも販売されていると思います。

松山医師

そうですね。ですが、高い音が聴こえて、低い音が聴こえないなど人によってバランスが違うので、それを一個一個調節する必要があります。大きい音を増幅するとさらに難聴になってしまいます。あとは、補聴器は眼鏡のようにすぐにつけたら使えるものでは無いので、実際こうやって会話していてもエアコンなどいろんな音がしていますよね。人間の脳は聴きたい音だけを選んで増幅する事ができるんです。雑音と分かっている音に関しては聴かないように脳が調節してくれているのです。補聴器の使い始めは雑音も声も機械音として全部入ってきます。長く使っていると脳の改変が進んで補聴器の音も聴きたい音だけを聴けるようになっていくので、使用には脳のリハビリが必要になってきます。最初、うるさくて使えないと言って辞めてしまう方もいらっしゃいますが、最初はそういう物なのでそこを乗り越える必要がある事をちゃんと説明する必要があります。

-補聴器を使うことに対してはそこまで色々な対応が必要とは驚きです。

松山医師

使い始めは音をあまり入れず小さい音から始めます。そうすると雑音も声も聴こえないと言われますが、慣れてきてから徐々に音量を上げていきます。きちんと目標値に達してから使用開始となるので、すぐ購入するのでは無くまず試してみてから納得いくところで購入するのが良いです。当院で診る場合も必ず貸し出しをして、これなら大丈夫と納得してから購入していただきます。認定の補聴器屋さんも貸し出しからスタートすることになっていますので、その場で買うという事は控え何度も何度も調節して、これなら大丈夫と納得したら購入するというようにするのが良いです。

お子さんの場合無理に診察するより信頼関係を作っていく

ーだいぶ長いインタビューになってしまいました。

松山医師

そうなんです。(笑)こういう話をしているとどんどん診察時間長くなってしまうんですよ。

ーそうなんですね。(笑) 診察についてのお話なのですが、心がけていることなどありますか?

松山医師

丁寧にすることは心掛けていますね。同時に話が長いのを好まない方や時間のない方もいらっしゃいますので、そういうところもなるべく見分け臨機応変に対応しています。あまりしんみりしてもしょうがなくて、ただちょっとウェットなところがあり、性格的にサバサバしていることもあり、治療はスピード感のある対応もするのですが、大事なところを見逃さない事や悩みなどには寄り添っていく事を心掛けています。聞かないといけない場所は大事に聞くなど臨機応変に対応して流れ作業にならないように気を付けています。

-なるほど、知りたい方も早く終わらせたい患者さんもいらっしゃいますね。

松山医師

鼻や喉のファイバーカメラ使用時には画面3個あるので「見ていいですよ」というと「怖いから見たくないと言う方」も「興味津々で見る方」もいます(笑)

-怖いというワードが出ましたが、お子さんは怖がる事が多いと思います。どのように診察されていますか?

松山医師

やはり、皆さん怖がるのでお子さんの場合は1回目2回目は無理に診察するより信頼関係を作っていく事が良いと思っています。耳掃除とかもその日に全部取るというより、ちょっとふやかす薬を出して「次来てね」としています。痛くしない事が大事で無理にすると嫌な記憶と結びついてしまうので、何回かにわけて信頼関係を築いて「じっとしていたら怖くないんだな」というのを覚えてもらうのが良いと思います。

-個人的にですが、いきなりの治療だったのか怖かった記憶は確かにあります。

松山医師

無理やり治療をして全然診せてもらえなくなってしまうこともあるので、中耳炎体質などある程度今後付き合っていかないといけない子などは、お互い信頼関係を築かないといけません。お子さんも色々わかる年齢なので、一度失敗してしまうと次からうまくいかないようになってしまいますので、耳掃除はなるべく痛くないように工夫していますし、治療に必要な場合以外の鼻掃除は嫌がるようならやらないで家でやっていただく用にお願いしています。信頼関係ができれば、「ちょっと吸おうか」「ちょっと頑張ろうか」を言えばできるようになるので、無理にやるよりちょっとずつ信頼関係を築くようにしています。

医学生も男性女性が半々なので、もっと女性の医師も増えて働き方も変わっていく

-お子さんの患者さんは多いのですか?

松山医師

午後の診療が遅くまでやっていないので(16時に受付終了)極端に多くはないですね。学校や部活の後を考えると夜までやっている病院に行かれているかもしれません。私の子供がもう少し大きくなったら、遅くまでやったり土曜日までやったりも考えています。下の子が1歳半なのですが、朝に預けて夜迎えに行くので私より子供の勤務時間が長くなってしまいますからね。預けてから病院に来て、着替えて、診察して、着替えて、迎えに行くので子供の勤務時間長いですよね。御所見病院は育児の時短勤務があるので、17時には迎えにいけますが、8時〜17時ですからね1歳半がそんなに働いて(笑)

-将来有望ですね(笑)

松山医師

ほんと、親と離れてね。(笑)でも、もっと働いているお母さんとか通勤時間が長い方になると7時とか7時半に預けて夜7時に迎えに行くと子供が12時間勤務していることになりますね。だから、育児時短は絶対必要ですよね、女性の働き方改革として。

-御所見病院は女性の医師が多いのでさらにそういう部分で変わっていくと思いますか?

松山医師

今、医学生も男性女性が半々なので、もっと女性の医師も増えて働き方も変わっていくと思います。ただ、子供は女性しか産めないのでそこはまだまだ考慮する必要があると思います。

-男性の先生に診てもらいたい、女性の先生に診てもらいたいなど選択肢が増えることは良いことだと思います。

松山医師

産婦人科も女性の先生も増えていますからね。そうそう、私は最近はマスクで顔が見えないので、目で笑うようにしています。口だけで笑っても見えないので、これがうまくなりましたね。大丈夫とニコッとするのを練習しました。(笑)